今回は、区分所有法 第17条(共用部分の変更)その2 から進めて行きます。

(共用部分の変更)
第十七条 ①共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この③区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、④共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、⑤専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

 

その1 は、こちらから。


④共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響

■共用部分の変更

・共用部分の設備を一部撤去する。

・共用部分の設備を新設する。

となります。

■専有部分の使用に特別の影響

「一部撤去する」に対して、専有部分の使用に影響が出る。

「新設する」に対して、専用部分の使用に影響が出る。

 

影響が有るか無いかの判断は、使用している区分所所有者の利益に対しての判断となるので、

管理者は、事前に住民に周知する必要があります。

 

 


⑤専有部分の所有者の承諾

 

今までは、区分所有者と明記されていたのが、区分が取れ、所有者と変更しているのはどうしてでしょう。

区分所有者
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるとき。となります。
=マンション全体から見た各所有権の形となります。区分所有法から見た各所有者となります。

所有者
その区分所有建物を所有している者。
=個人から見た建物の状態。

個人で、「〇〇マンションの〇〇〇号室を区分所有しています。」とは言いません。
「〇〇マンションの〇〇〇号室を所有しています。」が正解です。

承諾とは
受け入れる事。
この条文では、書面と記載されていない事から、口頭でも承諾すれば良いと言う事となる。

人数は
一人以上いれば、影響のある区分所有者全員と言う事になります。

何時までに
共用部分の変更の決議をするまでに。
時間は記載されていません。
決議をするまでに承諾があればOKとなります。


まとめると、

共用部分の変更議案を決議するまでに、影響のある所有者全員に承諾を得る必要あり。

となります。

 


所有者の承諾には、家族、賃借人は含まれるか。

含まれません(配偶者・一親頭の親族・同居する親族は代理人になれる可能性はあります)。

区分所有者と家族の意思疎通が出来ていないと、家族の意見は「反対」と明確になっていても、区分所有者が「賛成」の場合、賛成となり包括されます。

また、反対も同様です。

 

賃借人に対しては

標準管理規約では、意見を言える集会には参加(管理者の通知が必要)できますが、決議には参加できません。

標準管理規約(単棟型)

(出席資格)
第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。

(議決権)
第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
他の組合員
6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。

標準管理規約では、代理人は配偶者・一親等の親族、同居する親族か、他の区分所有者。となります。

ご自身のマンション管理規約をご確認下さい。

 


次回の土曜日は、第18条(共用部分の管理)から、進めて行きます。