今回は、第28条(委任の規定の準用)から進めていきます。

建物の区分所有等に関する法律

(委任の規定の準用)
第二十八条 この①法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。


①法律及び規約に定める

法律=区分所有法を含め、法律全般
規約=各マンションで取り決めされている管理規約

マンション運営の骨格は、上記の2つで決められています。
法律も非常に大切ですが、管理規約がそれ以上に大切です。

裁判になれば、まず管理規約に明記されているか否かが、訴訟をする、される際に大切になってきます。
また、管理規約がある場合でも、その行為が、区分所有法に抵触していないかを確認し、同時に、その他法律に照らし合わせて、抵触していないかを確認されます。
また、使用細則がある場合も規約と同様となります。
居住者の中には、「規約」も「使用細則」も無いと言われる方が結構おられると思いますが、最低限「管理規約」と「使用細則」は持っておき一読しましょう。

訴訟は、法律に抵触しなければ、罰せられません。
「一般常識がない。」だけではダメですので、感情論だけではなく、「明確に法律違反をしている。」「数回繰り返す。」「する可能性がある。」が必要になります。


管理者の権利義務は、委任

民法に委任契約の定義がありますので、ご紹介させて頂きます。

第十節 委任
(委任)
第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

(受任者による報告)
第六百四十五条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

(受任者による受取物の引渡し等)
第六百四十六条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

(受任者の金銭の消費についての責任)
第六百四十七条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

(受任者の報酬)
第六百四十八条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。

(成果等に対する報酬)
第六百四十八条の二 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

(受任者による費用の前払請求)
第六百四十九条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

(受任者による費用等の償還請求等)
第六百五十条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

(委任の解除の効力)
第六百五十二条 第六百二十条の規定は、委任について準用する。

(委任の終了事由)

第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

(委任の終了後の処分)
第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

各区分所有者→理事の契約、各区分所有者→管理会社の契約、各区分所有者→マンション管理士の契約は、全てが委任契約の一つである。
報酬欄に金額が記載されていなければ、無償契約となります。有償契約をするには特約が必要となります。
また、口頭だけで契約締結になる事となるので、その契約の証拠として契約書を締結する事になります。
委任のルールが記載されていますので民法委任契約一読を。
委任契約にそぐわない内容であれば、特約を参照して下さい。

管理者は法律、管理規約(使用細則)を遵守すると共に、契約は委任契約(準委任契約を含む)となります。


次回は、第29条(区分所有者の責任等) その1から進めていきます。