今回は、規模修繕工事 その9 から進めて行きます。
設計
タイル工事
危険個所の排除
大規模修繕前にも、タイル等の人に対して危険を及ぼす箇所で、上からタイル等(躯体から捲る様な物があれば)が捲れて降るのは、人命に係わる場合があります。
未然に防ぐには点検するしかありません。
点検を実施している際にはカラーコーンを置き、歩く・車の通行等する場所に人員を配置し、人・車等を近づけない様に、屋上から吊り下げて人間が打診する方法(一番確実な方法)で点検する事が望ましいです。
特に、EV棟・妻側等は、足場を設置するより、屋上から吊り下げ点検することで、足場設置より費用が安く(足場をレンタル・設置・運搬するより)、すぐに移動できる点検できるメリットもあります。
あくまで点検ですので、仕上げ材が悪く、タイル等の張替えをしなければいけない場合は、足場を組み作業効率が良い方法を選びましょう。
定期的(できれば1年毎に)下に人・車等出入りするような箇所は入念に点検しましょう。
既存タイルがあるか
現状に貼っているタイルがどの程度の枚数(㎡)があるかをまずは把握しましょう。
1箱には(タイル18枚1シート×22枚 タイル枚数396枚)2㎡強の材料が入っている事が多いので参考に。
1㎡強に直すと、198枚が必要となります。
大体、少ないか、無い事となります。
あれば、どの程度あるかの確認が必要です。
タイルの総数を把握する
タイルを焼く事を承認するのに、約枚焼くかを確認する必要があります。
今回分(次回分も含めるか)を焼き、用意をする事が出来れば、どれだけのタイルを焼くかを確認する必要が出てきます。タイルの悪い箇所の把握、タイルを焼く事は基本、同時進行で進める必要があります。
タイルの全体を打診調査するのは難しく、バルコニー側にタイルがある場合、調査員がバルコニーに入らせていただける方のお宅に入り、手摺壁・壁面等を打診調査しています。
バルコニーに入らせていただいた数と、全体の総戸数を出し、バルコニー側の全体を想定してた総数を出していきます。
サンプルの号室が多ければ(最低でも1割はほしい 階数もバラバラな方がよい)、総数も近くなって行きます。
共用廊下側タイルの浮き
共用廊下側にタイルがあれば、全体を1週間のめど(100件程度)に全体を打診調査します。
調査中は、毎日どこかで「コロコロコロ」と音がなり、住戸内におられる方「何の音ですか」と玄関先まで出てこられる方もいます。
また、妻側が打診できない場合などは、赤外線等機械的に妻側を調査し、大きな浮きが無いかを確認し(大きな浮きがあると赤く色が変わる事になります)、工事で足場が設置された時点で、再度、打診調査します。
したがって、工事に入る前の段階では想定数量(大体この位のタイルは浮いているだろう)しかわからない事となります。
工事開始後に全体を打診調査でき、総数が決まる事となります。
調査の段階で、ベルカでは、1年に0.6%のタイルが浮くと仮定しており、
0.6%(1年)×年数(築後12年で大規模修繕の場合)=想定7.2%
(築後15年で大規模修繕の場合)=想定9%と想定できます。
※ベルカとは
公益社団法人 ロングライフビル推進協会(BELCA)で、建築及び建築設備の維持保全にかかわる技術に関する総合的かつ体系的な調査、研究及び開発を行うことと、その成果の普及を図ることにより建築及び建築設備の適切な維持保全を推進しもってわが国における良好な建築ストックの形成に寄与することを目的として建設大臣の許可を受け設立された社団法人です。
全体を調査したタイル浮きとを比較し、ベルカ数字より多いのか少ないのかを確認する必要がります。
ベルカ数値と比較する
数字的にはベルカ数値より下回っていても、浮いている部位により変わり(一部分が浮きが激しい等)、一概に優秀とは言いにくい、各マンションの詳細を見なければわからない状態でもあります。
また、ベルカ数値より多い場合もあります。
あまりにもかけ離れる様であれば、新築当時の建設会社が存在(倒産等で存在しない場合もあり)すれば、タイルの浮きが大すぎる内容を打診してもよいのではないでしょうか。
次回は、規模修繕工事 その10 から進めて行きます。