今回は、区分所有法 第6条(区分所有者の権利義務等)その2 から進めて行きます。
(区分所有者の権利義務等)その1はこちらから
(区分所有者の権利義務等)その2
第六条 区分所有者は、①建物の保存に②有害な行為その他③建物の管理又は使用に関し区分所有者の④共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その⑤専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため⑥必要な範囲内において、⑦他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、⑧その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の⑨占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
⑤専有部分又は共用部分を保存し、又は改良
専有部分(ご自身の住んでいる居室等)の保存・改良はわかりやすいと思います。
共用部分の保存行為も同様に区分所有者単独で保存・改良する事が出来ます。
第十八条(共用部分の管理)では、「・・・保存行為は、各共有者がすることができる。」とされており、各区分所有者でも保存行為をする事が可能とあり、各区分所有者でも保存行為よる改良はゆるされる事となります。
詳しくは、第18条でお話させていただきます。
「保存」・・・そのままの状態を保つ事。
「改良」・・・不備な点や悪い所を含めて、改めてよくする事。
大規模修繕等の改修工事は、H14年の改正により、集会にて普通決議(区分所有者数・議決権の各過半数)で決議出来るとなりました。
いわゆる、改良(改修)となります。
「修繕」・・・修繕前と同じ仕様でなおす事。=保存行為
「改修」・・・修繕と改良(仕上げを変える等。共用廊下の塗装仕上げ→シート仕上げにする)を同時にする。=改良行為
「変更する事と、改良する事はどう違うの。」と思われている方もおられると思いますが、
「変更」・・・建物に影響を与える工事や、建物の変更を伴う設備を設置すること。
新たに設備だけを導入する場合は、「改良(修繕・改修)」でよいのですが、建物に新に穴を空け、建物が元と同じ状態ではない場合は「変更」となり、区分所有者・議決件数の各3/4以上が必要(規約の定めがあれば区分所有者数は過半数まで減じれる)プラス、変更しようとする物(場所)に特別の影響を与える場合は、使用している全員の承諾を得る必要あり。
詳しくは、第17条(共用部分の変更)の回でお話させていただきます。
⑥必要な範囲内
とは、「どの程度の範囲になるのか。」ですが、工事を実施する際には、必ず共用部分を通って材料・人が立ち入る事となります。
搬入車はどこに止めるか。搬入の時間帯は。使用する共用部分は何処か。
業者に共用部分の使用範囲を明確に記載させる等の確認をする事です。
書面に記載させる等して、業者に提出してもらいましょう。
これは、性善説(ルールを守る)で成り立っている事から、性悪説(ルールを守らない)の業者等には十分注意しましょう。
イレギュラーな事をする時は、マンションで事故が起きる可能性が高くなる事から、業者に安全について十分認識させると共に、搬入計画を立てさせて、実施される事を望みます。
⑦他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求
「専有部分を保存・改良」するのに「他の区分所有者の専有部分」を利用してしなければいけない事はあるのか?とは思いますが、条文上に明記されています。
「自己の所有に属しない共用部分の使用」とは、一部共用部分となります。
一部共用部分は、「当該の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分」となるので、一部共用部分を持たない区分所有者は、自己の所有に属しない共用部分となります。
使用を請求とあるので、「使わせてほしい。」と言えますが、相手の承諾なしには使用出来ませんのでお間違いなく。
「専用部分の改良で、共用部分を使用する事はあるのか?」とお思いと思いますが、木材等の下地材は長さ4mほどあり、エレベーターでも入りません。
共用廊下に各一人がいて、突き上げて納品するか、階段を使い納品しますし、石膏ボード等はエレベーターを使って納品します。
エレベーターに養生されているのを見ると、「どこかで改装が始まったな。」お感じになられるのではないでしょうか。
掲示板等でお知らせされていると思いますが、「あまり見ませんよね。」
⑧その償金を支払
相手方(管理者・区分所有者・一部共用部分共有者)が使用する事を承諾し、使用した結果、損害が発生すれば、その賞金(損害償金等)を支払わないといけません。
損害が物の場合は(財産的損害)、直せば見た目分わからなくなりますが、人身の場合、心の傷は治りません(精神的損害)。
損害が出れば、損害賠償請求、修補請求ができますが、人身の場合は慰謝料(金銭)でしか解決できませんので、事故をおこさない事が一番大切になります。
その点を十分留意して、事故の無いマンション運営を心がけて下さい。
次回は第6条(区分所有者の権利義務等)その3から進めて行きたいと思います。