第一節 総則
(共用部分)
一言で言うと、
区分所有建物には、「専有部」か「共用部」しかありません。
共用部分の分類
1.法廷共用部分
使用している空間の躯体部分。
使用している空間に出入り出来る廊下、階段、エレベーター、屋根等。
2.法廷共用部分の付属物
排水、給水、電気、ガス、消防施設、テレビアンテナ施設、インターネット設備等、「外部からマンション敷地内」「建物内部を通り専用部分に行くのに必要な付属物」
設備配線、配管で、面積として出ないもの等。
3.規約共用部
管理規約による共用部分。
区分所有区画(1,建物内に遮蔽された空間が数個あり)として成り立つ部分を規約により、「ここは共用部分ですので売買は出来ません。」と規約で定めるもの。
管理員事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室等。
※登記簿に共用部の登記をしなければ、第3者(最初の売り手買い手以外の人)に対抗する事が出来ない(この物件は売買出来ませんと言えない)。
しかし、背信的悪意者(知りながら悪い事しようと思い契約する事)で、登記していない共用部が認められた事例もあります。東京高裁 平成21年8月6日 判タ1314‐211
4.規約共用部分の付属物
上記に伴い、必然的に規約共用部の付属物となる部分。
どこが規約共用部分?
標準管理規約の別表第2には、共用部の範囲として明記があります。
1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、
屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メータ
ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎
部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、
テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配
管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配
管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物
各マンションにも、マンションの管理規約がありますのでご確認下さい。
標準管理規約のコメントには
別表第2関係
① ここでいう共用部分には、規約共用部分のみならず、法定共用部分も含む。
② 管理事務室等は、区分所有法上は専有部分の対象となるものであるが、区分所有者の共通の利益のために設置されるものであるから、これを規約により共用部分とすることとしたものである。
③ 一部の区分所有者のみの共有とする共用部分があれば、その旨も記載する。
3は、専用部分として成り立つ場所を、規約により共用部としています。
規約共用部の付属物にていては、規約共用部となった時点で、規約共用部の付属物となります。
したがって、「一つの建物の中に、数個の遮蔽した部分がある部分」=管理事務室、管理用倉庫、・・・の付属物は、基本専有部分となりうる箇所となり、規約により共用部とする事が出来る。
これを登記する事により、第三者に対抗する事ができるのです。
「管理規約に明記すると」で規約共用部とできるが、「第三者に対抗できない」が、
「登記する」と「第三者に対抗できる」となります。