今回は、区分所有法 第8条(特定承継人の責任)から進めて行きます。

(特定承継人の責任)
第八条 前条第一項に規定する①債権は②債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。


債権は、

債務がある区分所有者に対して、請求できる権利。

 

債務者たる区分所有者の特定承継人

承継人には2つあり、

◇特定承継人

売買(売り・買い)・贈与(不動産を無償で譲渡する・される)

◇包括承継人

相続(所有者の死亡により被相続人が所有者となる場合)・法人の合併(2つ以上の会社が一つになる)・法人の分割(一つの会社が2つ以上になる)

となります。

 

包括承継人は、前区分所有者の財産も、債務も引き継ぐ事から、単純相続・合弁・分割すれば、資産・債務も引き継がれます。

相続の場合、単純相続、認定相続、相続放棄と選べ、相続を知った日から3カ月以内に家庭裁判所(延長出来る事もある)に申し出れば、相続の種類を選らべる。3カ月以上経過すると基本は単純相続のみとなる。

複数人の被相続人がいれば、単純か認定かを統一しないといけない。放棄は単独でも出来る。

単純承認相

資産も債務も相続する。

 

限定承認

資産と債務があり、資産-債務=残資産を相続する制度。

簡単に資産と負債が分かれば単純承認か相続放棄でいいのですが、資産も負債もあるかが分からない場合などは調べる必要がありあます。

相続されると知った時から3カ月以内に家庭裁判所に届け出る必要があります。届けないと単純相続となるので注意が必要です。

被相続人が数名いれば、全員が一致していないと出来ません。他の相続人が単純で自分だけ認定承認は出来ません。

 

相続放棄

被相続人が数名いても、その内の一人が、相続放棄すれば、初めから相続人ならいものとなる。受理されれば撤回は出来ない。

全員が相続放棄すれば、国庫に帰属されます。

では、第三者に売却の場合はどうでしょうか。

売却され、旧所有者から債務が支払われいまま何処に行くか分からない場合等、支払われる可能性が低くなり逃げ得になりかねません。

それを防ぐために、新所有者(特定承継人)に対しても旧所有者の債務を継続して負担してもらえる様にした内容です。

「前所有者(債務者)は責任を免れたことになるのか。」と言う事になりますが、責任は免れません。

債権を持っている管理者・区分所有者は旧所有者(債務者)又は、新・旧所有者に対しても債権を請求する事が出来ます。

請求は両者に出来ますが、支払いは債権の範囲内でしか支払っていただけません。

では、中間所得者の場合は債務は引き継がれるのでしょうか。

前所有者→中間所得者→新所有者の場合です、不動産会社が間に入る場合(個人でもあり)がありますが、

不動産業者には、「自ら売り主」と「媒介(仲介)」「代理」があり、債務者→業者が「媒介」「代理」→新所有者の場合は、中間所得者とはなりません。

媒介・代理であっても、新所有者に売る際には35条書面(重要事項説明)に、管理費・修繕積立金等の滞納有無の項目があり、明確に書面で新所有者に伝わるります。

媒介契約の場合は、売手と買手の契約できる様に橋渡しをする事になるので、中間所得者とはなりません。

また、代理契約についても代理行為は、本人に帰属される事から中間所得者になりません。

 

自ら売主

旧所有者(債務者)より中間所得者(業者・個人)が買い自ら買い主、改めて、新所有者に売る場合などは中間所得者となります。

だいたい業者が買った時点で滞納関係は綺麗になりますが。

債権者は、前所有者(債務者)からも、中間所得者からも、新所有者からも回収することができます。

では、管理費・修繕積立金には時効はあるのでしょうか。

◇管理費・修繕積立金等の時効

5年となります。

結構短いですよね。滞納が始まるとあっという間に1年が経過し、「自分が管理者の時に裁判手続きしなくても。」となり、あっと言う間に3~4年が経過し、「あーどうしよう」となります。

滞納は、金額を回収する事が前提ですが、いかに長い期間、有効に督促できるかが重要となります。

裁判を起こし、判決(勝訴)が出れば、判決(内容証明郵便を出した場合は、確定日付に遡って)10年間(公正証書や、和解調書を作成した場合も。)となります。

また、債務者が一部を支払えば、そこから5年の時効となるので、非常に大切です。

管理費等を引き落としにしている場合などは、工夫が必要かもしれません。

※時効については、債務者が「時効だからその分は支払わない。」と言わない限り(時効の援用)時効となる事はないです。

(例)滞納が10年経過して、相手方が5年までは支払うが、それ以前の滞納は支払わないと言えば、支払わなくてもいい事となるので、時効を止める事は大切です。

◇不法行為での物損

権利を行使することができることを知った時から5年以内であり,かつ,権利を行使することができる時から10年以内

◇人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権

権利を行使することができることを知った時から5年以内であり,かつ,権利を行使することができる時から20 年以内

 

第8条の条文は、特定承継人も同様に、売却されても支払うよう請求できるので、大変有効になります。

 

気を付けて頂かないといけないのは、

弁護士法

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

上記通り、弁護士以外の者は、報酬を得る目的で代理人とはなれない事になります。
したがって、裁判出来るのは、当事者か弁護士となります。

まず最初にしないといけない事は、支払ってもらう事です。


第9条(建物の設置又は保存の瑕疵かしに関する推定)から進めて行きます。