今回は、区分所有法 第18 条(共用部分の管理)その2から進めて行きます。

 

第18条(共用部分の管理)その1 はこちらから

(共用部分の管理)
第十八条 ①共用部分の管理に関する事項は、②前条の場合を除いて集会の決議で決する。ただし、④保存行為は、⑤各共有者がすることができる
2 前項の規定は、⑥規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 ⑦前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する
4 ⑧共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。


⑥規約で別段の定め

規約に定めるには、区分所有者数・議決件数、各3/4以上が必要。

規約に別段の定めがあれば、共用部分の管理に関する事項は、集会を開催しなくとも共用部分の管理をする事が出来きます。

毎回、普通決議を得なくても共用部分の管理を実施する意思決定、費用の決定等、迅速に進める事が出来る。


⑦前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する

前条
(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
は、「第18条1項にも準用(標準として採用)する。」となり、共用部分の管理に関しても特別の影響を及ぼすときは、専用部分の所有者に承諾を得る。
事となります。


⑧共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理

損害保険契約を「締結する。」をスムーズに行なえる様に、共用部分の管理(区分所有者数・議決件数の各過半数で決議)とされています。

規約に別段の定めも出来る(※規約に定めた場合、契約金額が安くなる分には問題ないが、現在の支払っている金額より高くなる場合、集会の普通決議が必要。)

損害保険

マンション総合保険、火災保険、施設賠償責任保険、個人賠償保険、地震保険(火災保険の特約として)、その他あり。

各マンション共用部分に損害保険が締結されていると思いますが、複数年契約(1年解約もありますが、費用的に高くなる傾向がある。)で契約されているのが一般的です。

各マンションで損害保険が締結されていれば、定期総会資料の貸借対照表(BS)の資産の部分(左)に、前払い費用、減価償却累計額(損害保険料)、損害保険料、と記載されていれば、損害保険を複数年で契約し、償却されいます。最初の契約時に、当期分+前払い(契約金額)を支払います。

 

(例)損害保険契約

締結日令和4年9月1日から

契約年数 3年(36か月)

金額360,000円(※根拠のある数字ではない)

責任開始日 9月1日

決算月3月31日

で見て行きましょう。

支払い金額

当期支払い分

減価償却(損害保険)累計費 次期繰越金
契約金額支払い 360,000円
令和4年度分(7カ月分) 70,000円 70,000円 290,000円
令和5年度分(12か月分) 120,000円 190,000円 170,000円
令和6年度分(12か月分) 120,000円 310,000円 50,000円
令和7年度分(5カ月分) 50,000円

9月から開始した場合(令和4年9月~令和7年8月まで) 360,000円×7ヶ月÷36ヶ月=70,000円(令和4年度 7カ月分)

360,000円(保険締結総額)-70,000円(令和4年度 7カ月分)=290,000円(時期以降 年度金額を減価償却)となり、次年度以降12ヶ月分120,000円毎に引かれ、最終的に50,000円(例令和7年度 5ヶ月分)が償却されます。

※減価償却の記載方法は、いくつかあり、減価償却累計額の項目を使用している場合や、直接、項目の金額を減額する場合もあります。

最終年度(令和7年度)に新たなに保険契約する事もあり、金額は変わりますが、考え方は上記のようになります。

また、保険契約日と責任開始日(保険対象となる日時)は違うので注意が必要です。証書を良くご確認下さい。


次回の土曜日は、第19条(共用部分の負担及び利益収取)から進めて行きます。