今回は、区分所有法の第4 条(共用部分)その2から進めて行きます。

第一節 総則

(共用部分)その2

第四条 ①数個の専有部分に通ずる廊下又は②階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は③区分所有権の目的とならないものとする。
2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、④規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の⑤登記をしなければ、これをもつて⑥三者に対抗することができない

①数個の専有部分に通ずる廊下

いわゆる共用廊下

これは皆さんイメージしやすいのではないでしょうか。いわゆる共用廊下になります。
共用部分の持ち分について議論になる事がありますが、共用部分は分割できないので、「この部分は自分の共用部だと」言えない事になります。
共用部分の面積はどこまで行っても、「総数分の個人の持ち分」となり、1ミリ㎡でも、それ以下でも同じです。
したがって、全ての共用部は「総数分の個人の持ち分」となり分割出来ません。
※一部共用部分については、「一部共用部分を使用する区分所有者分の一部共用部分を利用する割合」となります。

②階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分

全員又はその一部の区分所有者が利用する場所や付属物。

マンション標準管理規約(単棟型) 別表第2 共用部分の範囲では、
1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物
となっております。

バルコニーは共用部?

 

基本共用部分です。 ※専有部になる場合も(古い建物では専有部分とされた判例もあり)

しいて言うなら、専用使用権のついている共用部です。※例外あり

 


なぜ?

 

バルコニーは避難経路として設置されている場合が多い。

消防庁告示第3号 ※共同住宅の場合 いろいろな規定あり
ご自身の売買契約書時にも、重要事項説明で説明されていると思いますが、バルコニーは専用使用権の付いた法廷共用部分となります。※昔の建物では専用部分と判断される判例あり。

また、バルコニーは避難経路としている事が多い。

お隣さんの台所で火災が起き、ご自身の玄関扉までいけない場合、バルコニーから避難する場合があります。

お隣さんのバルコニーと隔壁で区画されていて、災害の際に蹴破り通過又は下階に降りる避難階段がある。=避難経路になっている。

本人・家族以外が利用する事が有るため専有部分とはなりません。

 

 


バルコニーは、法定共用部分・規約共用部分?

法定共用部分

法定共用部は区分所有法できめられる物ではなく、当然に共用とされる部分である為、区分所有法では明記なく、居住者以外が使用する可能性のあるバルコニーは法廷共用部分となります。

規約共用部分にすると、規約を改正すれば専有部分になる可能性がある事から、規約共用部分ではありません。


では、法定共用部分であれば、他人が行ききできるのか?

有事の際は別ですが、行き来できない。

専用使用権付きのバルコニーとなるので、火災・地震等が起こり、玄関側から逃げられない状態になる場合は使用可能となります。

 


専用使用権を契約しているのか?

売買時、重要事項説明で説明、署名捺印している。

不動産会社と売買契約時に、重要事項説明で記載され説明、署名、捺印している内容となります。

 


専用使用権の内容は

専用使用権とは何かの明記はありません。

専用使用権の契約書としては無い為、各マンションの管理規約を読んでいただいければと思います。

 

マンション標準管理規約(単棟型)では

第13条(敷地及び共用部分等の用法) 関係区分所有者は、敷地及び共用部分等をそれぞれの通常の用法に従って使用しなければならない。

第14条(バルコニー等の専用使用権)  区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
2 一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
3 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる。

別表第4 バルコニー等の専用使用権 P28

 

標準管理規約コメント

第13条関係「通常の用法」の具体的内容は、使用細則で定めることとする。例えば、「自転車は、一階の○○に置きます。それ以外の場所に置いてはいけません。」

第14条関係

① バルコニー等については、専有部分と一体として取り扱うのが妥当であるため、専用使用権について定めたものである。
専用使用権は、その対象が敷地又は共用部分等の一部であることから、それぞれの通常の用法に従って使用すべきこと、管理のために必要がある範囲内において、他の者の立ち入りを受けることがある等の制限を伴うものである。また、工作物設置の禁止、外観変更の禁止等は使用細則で物件ごとに言及するものとする。
③ バルコニー及び屋上テラスがすべての住戸に附属しているのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる。

 

とあり、明確に専用使用権とは何かを記載しいません。

あくまでも共用部となる為に、各マンションの管理規約(用法に沿って)をご参照下さい。

また、バルコニーの隔壁をふさぐ工作物等(常時その場に置かれている物)は置かないで下さい。

バルコニーの㎡数が2㎡以上の場合0.75mの通路幅が必要となっています。部屋のサッシ部分から外部手すりの立ち上がり内部寸法が750㎜以上(現在はもう少し寸法が大きくなっています)となります。

そして、避難路として(こちらの寸法は法律としての明記はない)隔壁のワイド寸法は最低限必要ではないでしょうか(最低750㎜?)。※一度消防署に確認に行きたいと思います。

また、隔壁廻り、その通路になる部分には物を置かない様にして下さい。

隔壁がふさがれ移動出来なくなり死人が出た場合、業務上過失致死罪に問われる可能性があるのでご注意下さい。

こちらは管理組合、居住者共に問われる罪になるので、「管理組合は周知しているか」「居住者は守っているか」が問われたりします。

何もないのが一番ですが。


次回は、共用部分 その3からです