今回は、3.玄関ドアについてからお話を進めたいと思います。

各扉関係

  1. リビング・各部屋の開き戸について(共用部の鉄扉について
  2. 和室襖について
  3. 玄関ドアについて
  4. ドアクローザーについて
  5. 玄関鍵について
  6. 玄関ドアガードについて
  7. サッシ(サッシュ)クレセントについて
  8. 和室敷居について

 


3.玄関ドアについて

  • 構造
  • 共用部か専用部か?
  • 災害時には
  • 凹みやすい
  • 仕上げについて
  • ドアスコープについて
  • その他の注意点

上記の順でお話を進めていきます。

≪LIXIL 集合住宅玄関ドア≫

 


構造

玄関ドアは、型押しした1,5㎜程度(昔の玄関ドアはこちら)の鉄板か、

芯材「鉄のハニカムコア」に(両面)0.5㎜程度の鉄板が取り付けられている商品(近年はこちらの商品)。

ハニカムコアにする事により重量が軽くなり、開け閉めが軽い構造となるが、蹴破る事はできません。

 

玄関ドアは防火商品でもあり、国土交通省の玄関ドア内側(住居側)にメーカー、防火認定シールが貼っています。

 

認定には、「防火戸」「特定防火戸」と2種類あり、「防火戸」内でまた2種類に分かれていて、遮炎時間が「20分」と「1時間」に別れ、遮炎時間が厳しい方が特定防火戸と覚えていただければ問題ないです。新築マンションには、必ずシールが室内側に貼り付けているはずです。

玄関ドアは、火災時に外部のを室内に入れない、また内部のを共用部に出さない等の役割もあたえられている。

したがって、玄関ドアに郵便受けが付いている玄関ドアは、なるべく郵便受け内に燃えるような紙類は置かない様にしましょう。

また、ドアクローザー自身がストッパー機能なしの商品となっているのは、解放状態にしない様にです。

これは、防火対策の一つです。

 


共用部か専用部か?

各部屋に取付いているから、「専用部分ではないか」とお思いの方がいらっしゃるかと思いますが、玄関ドアは共用部となります。

いやいや「鍵が付いているのに共用部ておかしくないですか?」と思われている方も多くないと思いますが、ご自身の住んでおられる、管理規約にも記載されていると思います。

「なぜ共用部になるかですか?」と言う疑問が湧いてきます。

答えとして

「マンション全体で同型の建具を使用している中に、一部屋だけ違う玄関ドアが付いているのを防ぐ。」です。

共用部になるのは、扉だけです。丁番、ドアクローザー、鍵、取手、ドアスコープ、郵便受け、ドアラッチは専有部所有物(居住者が使用する事により経年劣化する物)となり、各マンションの管理規約により変わるので確認を。

しかし、大規模修繕(計画修繕)に玄関ドアを変える際は、玄関ドア以外の金物をふまえ管理組合が交換する。

 


◇区分所有法

専有部の記載はないが共用部として、

(共用部の使用)

第十三条 各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。

(共用部の管理)

第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる以下省略

 

「用方」とは使用目的以外のことに使用しない(玄関ドアであれば、玄関ドア以外に使用しない。当たり前であるが)。使用細則等できめられている等。

「保存行為は」とは修繕。その物を修繕しながらりようする(取替とは違う 取替の場合は共用部の変更に当たる)

 


◇標準管理規約

第7条2項二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専用部とする

と記載されています。

 

「内部塗装部分?」となるでしょう。

また、「他にも色々な物が玄関ドアには取り付いていますが、その部品は?」となります。

あくまでも標準管理規約ですので、ご自身のお住まいのマンションにも、管理規約、使用細則があると思いますでよくお読み下さい。

分からなければ、管理組合、管理会社にお問合わせ下さい。

 

標準管理規約の条文は、外側、内側共、現地でペンキ塗りできる玄関ドアを想定さている為にこの様になったのではないかと思われます。

公団住宅の玄関ドアには、このタイプが数多く採用されていた。

 

したがって、コンクリート同様に考えていただければいいと思います。

コンクリートまでが共用部、それ以後は専用部となる。

細かい部品については、居住に必要不可欠な部材は専有部の部品とお考え下さい。

 


災害時には

建築基準法(昭和56年6月改正)で建物6震度~7で倒壊・崩壊しないとされています(補修しなくて良いと言う事ではない)。

玄関ドア自身も壊れる事はないですが、外圧により壊れる可能性はあります。枠がひしゃげて玄関ドアが開かない場合もあります。

その際は、バルコニー側に出て左右どりらかの隔壁を破り、バルコニーに避難ハシゴが付いている部屋まで行き下階に下ります。

震度5以上では人が立つこともままならないので、玄関ドアまで行き鍵を開ける事は不可能に近いと思われますので、玄関ドアが開かない時にどうするかを考えておいて下さい。

避難ハシゴがどこの部屋にあるか、自分の部屋からどの様に行くかは、新築であれば、カタログ等でどの部屋に避難ハシゴがあるか見てシュミレーションしておく。必要です。

 


凹みやすい

玄関ドアは凹みやすい物です。酔っぱらってドンドンドンと強く玄関ドアを叩くと凹みます。翌朝「何でこんなに凹んでるんでしょう―ねー」と言うぐらい凹みます。

凹むと補修はできず、取替しか方法はないです。

構造でも書きましが、(両面)厚さ0,5㎜程度しかない玄関ドアですので、ちょっとした事で凹みます。

小学生に注意するより、ご主人がヘベレケに酔っぱらって帰ってきてドンドンたたかない様に注意しましょう。

また、玄関ドアの鍵に、色々なアクセサリーを一緒につけている方もおられますが、あまり硬い物を付けていると玄関ドアや取手に当たりキズが付きますので注意しましょう。

 


仕上げについて

キズが付いて、こすったら落ちそうな汚れを、研磨剤の入ったもので清掃すると、その部分が白くボヤーとします。

玄関ドアは塗装で仕上がっているので補修ができません。「車は板金屋さんで塗装も出来るのに、玄関ドアも板金できるのでは?」とお考えの方も多いのでは。

しかし、塗装が単色でなく、複雑な塗装仕上げが多いこともあり、現地で塗装しても綺麗に仕上がりません。

玄関ドア交換する方が費用対効果を考えると安いと思われます。

※玄関ドアを新しく同じ物を注文しても、モール(飾り)が付いている物や、シルクスクリーン(Tシャツ等で印刷されている技術)で印刷された玄関ドアは再現出来ない場合があります。

ご注意下さい。

 


ドアスコープについて

中から玄関ドア先の人物を特定出来る商品。

その特徴がある商品であるのが上に、被害に会われている方もおられます。特に盗撮。

室内側に目隠しカバーがされていないドアスコープは、外部から内部の様子を写真(動画)に取られたりします。

もし目隠しカバーが付いていないドアスコープの場合は、布をかぶせるなど工夫をして外部より内部が見えない様にして下さい。

また、簡単に外す事が簡単に出来る商品ですので、ドアコープが緩んでいないかのチェックはした方が良いです。

良くマンションに行かれる方(配達関係のお仕事)はご存じだと思いますが、玄関ドアから「今、のぞいてるな」分かります。

ドアスコープカバーされている商品だと、一瞬明るくなり、また暗くなる。カバーの付いていない商品だと暗くなる。

在宅しる証ともなるので少し工夫が必要です。ご注意下さい。

特に一人暮らしをされている女性は、ドアスコープを使用するのではなく、玄関扉上部に取り付ける防犯カメラや、表札に取り付けられる防犯カメラ等があるので、

あまり玄関ドアスコープからのぞかない様にしましょう。

 


その他の注意点

玄関扉が開ける際は重い。閉める時はバタンとしまる経験はないでしょうか。

得に非力なお年寄り、お子様では玄関ドアが開きにくい事があります。押すのは重くても開けられますが、閉める時に手を詰めたりしないか心配です。

原因はキッチン換気扇を強で回すと負圧(外部から内部に空気の流れができる)が強くなり、少ない隙間から室内に空気の流れができ、玄関ドア等を開けにくくする事があります。

玄関ドア 断面イメージ図

マンションは気密性が高く、外部より空気が入ってくる量が少ない為にこのような事がおこります(換気扇にも悪い影響をあたえる)。

解消するには、壁面についている換気口を開け、サッシ(洋室でもOK)の引き戸を少し開ける。これだけで玄関ドアは楽に開閉する事が出来ます。

夏場熱い時は冷房効率は落ちる、冬場の寒い時は暖房効率も落ちるが、お子さんが帰る時間帯が夕食の支度の時間帯になると思います。

その時間帯だけでも外気を少し取り込んで玄関扉の開閉をスムーズにしてあげて下さい。

また、玄関ドアと枠にはゴムのパッキン材が入っており、換気扇を回す事で玄関扉が室内側に押さえつけられ、パッキンがへたり、鍵のデットボルトが枠の掘り込み部分の端に当たり鍵が開閉しにくなります。

その場合にはパッキンの交換か、パッキンの後ろに平板等をはさみ閉まり過ぎない様にしましょう。

 


次回は、4.ドアクローザーからです。